装画のお仕事。
宮下奈都さんの「窓の向こうのガーシュウィン」(集英社)。
小説すばるの連載開始の時、挿絵依頼の連絡があって
第一回目の、はじめてこの物語に触れたとき、
(この時点ではまだこの物語がどこへ向かうのか僕にはわからなかったけれど)
「うわあ、好きだなあ」と思った。
頭の中にいろいろな風景が浮かんで、匂いがして、
自転車のベルのチリンチリンとか、そういう生活の音が聞こえた気がした。
そして、そういうものを描きたいと思った。
毎回毎回本当に良くて、
微笑んだり、ちょっと寂しくなったり、で、あたたかくなったり。
流れている空気に何とも言えない魅力があって、引き込まれて、
ラストもたまらなくよかった。
単行本化にあたり、改めて装画を描く機会をもらい、
さらに連載時の挿絵もたくさん使ってもらった。
装丁を手がけてくれたのは、名久井直子さん。
今回はじめてお仕事ご一緒させていただきましたが、
紙の選び方とか、絵の使い方とか、本の仕上げとか、
どれをとっても細部に至るまで神経と愛情が行き届いていて
すごく良くて、、感動しました。
全てにおいて、とても幸せな仕事となりました。
手に取っていただけたらうれしいです。