2021年5月17日月曜日

新刊のおしらせ『チョコレートのおみやげ』


『チョコレートのおみやげ』
岡田淳/文
植田真/絵
BL出版

デザイン・中嶋香織



「時間がとけていくみたい」そう言って、おばさんが話してくれたのは、ひとりの男とニワトリのお話。
あまいチョコレートみたいに優しい、物語の結末は……。(本書そで文より)


岡田淳さんとの新刊『チョコレートのおみやげ』ができました。このお話は、現実のお話とそこで語られる空想のお話による二重の構造になっています。といって、複雑なお話というわけではなく、とても自然に2つの物語が絡み合って進んでいきます。

絵を描くにあたって、その自然な流れに身を任せながら、モノトーンの鉛筆画とカラーの水彩で描き分けました。ちなみに、カラーの水彩の絵は、カード状にカットした水彩紙をたくさん用意して、このお話を読みながら浮かんでくるイメージをカードに絵をつける感覚で描いていきました。とても楽しい制作時間でした。こういった、これまでとは違う特殊な作り方をしたのも、独特の空気感を持ったお話だと感じたからだと思います。

さて、この物語は、そもそも1999年にリブリオ出版から出版された「兵庫の童話」という本に収録されたものだそうです。「時間」がひとつのキーワードになっているお話の、20年越しの書籍化に、当時このお話を読んだ方にとっても、まさに「時間がとけていくみたい」な感覚を味わうことになるかもしれません。

中嶋香織さんのデザインもこの物語を内包するような、やさしく、かっこいいデザインで、出来上がった本を眺めながらしみじみと嬉しい気持ちになりました。
ぜひ、手に取っていただけたら嬉しいです。


使用しなかったカード絵のストック