2015年1月24日土曜日

セロ弾きのゴーシュ


新刊のお知らせ。

宮沢賢治・作 植田真・絵
『セロ弾きのゴーシュ』

『セロ弾きのゴーシュ』を描きませんかと
依頼があったとき、すごく嬉しい気持ちの片隅で
これはなかなか難しい仕事だなという気持ちもあって、
複雑な心境だった。

というのも、ゴーシュは茂田井武さん赤羽末吉さんなど
すでに多くの絵描きによって絵本になっているから。
僕は僕のゴーシュを描ききれるかどうかという気持ちがあった。

しかし、何度も何度もゴーシュを読みこんでいくうちに
宮沢賢治の文章にあるリズムや、孤独や、滑稽さなどが
僕の身体に染み込んでくるような感じがした。

本の判型やページ数などは、
僕が決めていいということだったので、

まず、独特の土っぽさとモダンが合わさった
このゴーシュの面白さを前提に考え、
文章のリズム感は壊さないように32ページの絵本ではなく、
読み物としての体裁でいこうと思った。

判型は読み物では一般的なタテではなくヨコにして
文芸ではなく絵本的な雰囲気を意識しつつ、
日本語が読みやすいタテ書きでいくことにした。

絵はなるべく柔らかいテンションで描くために
紙に思いつくままのシーンを何枚も描いていった。
この時間はずっと描いていられるくらい楽しく
描けば描くほど、線も柔らかくなっていった。

この依頼がきた時からお願いしたいと思っていた名久井直子さんに
デザインをお願いし、描き溜めた絵すべてをお渡しして、
自由にレイアウトしてもらった。

おかげで、僕がこの本に内包したかった匂いや空気や温度は
きちんと閉じ込めてくれつつ、それ以上のエッセンスがプラスされ、
自分がイメージしていた以上の本が出来上がったと思う。

土っぽさとモダン。
孤独と滑稽。
憎たらしさと愛らしさ。

「セロ弾きのゴーシュ」の面白さを存分に味わっていただけたら幸いです。







書店には今月末くらいから並ぶ予定ですが、
現在僕の個展が開催されている吉祥寺・トムズボックスには
先行して数冊入荷の予定です。
(ちなみに植田は、1月25日(日)、
 昼すぎ〜夕方17時頃までトムズボックス在廊。)



原画展開催の予定などもありますが、
それはまた後日お知らせします。



2015年1月15日木曜日

私家本「旅路の音楽」について


1月も半ば。雨の本日、外は仄かに明るい。
さっきから鳥の鳴く声がしているからもうすぐ雨はあがるのかもしれない。

トムズボックスでの個展も折り返し地点。

今回、展示に合わせて制作した私家本「旅路の音楽」。
表紙は黒にシルバーの活版印刷。
印刷されている所とそうでない所の凹凸が
手触りを感じて楽しむことができる。

中身は今回の展示作品より抜粋。
だれもが辿ったおよそ10ヶ月間の世界。
その道程で見ていたもの、聴こえていたものを
僕は、音楽(Psalm)として今回の作品とこの本を制作した。

カラー32ページ。限定500部。
一冊一冊手描きのシリアルナンバー入り。
今のところトムズボックスでお取り扱い中。

楽しんでいただけると幸いです。







2015年1月5日月曜日

旅路の音楽


2015年がはじまった。
いろいろなことが待ち受けていそうな年だけれど、
まずは、トムズボックスでの個展。

Psalm at Journey
旅路の音楽

いよいよ本日1月5日から。
全て描き下ろしの新作。

今回、展覧会タイトルでもある「旅路の音楽」と題した
500部限定(シリアルナンバー入り)私家本を制作した。
表紙はシルバーの活版印刷。
なかなかいい雰囲気の本になったのではないだろうか。

また、前回のトムズボックスでの個展時に制作した
「落日と風のこと」も少し販売します。

その他、1月半ば頃には別の新刊の予定がありますが、
こちらはまた後日。

では、よろしくお願いします。


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植田真 個展

Psalm at Journey
旅路の音楽

2015.1.5〜31

11:00〜20:00 最終日19:00まで
木曜定休


トムズボックス
武蔵野市吉祥寺本町2-14-7
04222-23-0868