装丁・装画・挿絵を担当した本。
「ここにないもの 新哲学対話」
野矢茂樹・文 植田真・絵 中央公論新社
以前、大和書房から単行本で出版されていたものを装いを新たに
中央公論新社より文庫化するにあたって、挿絵・装画を描き下ろし、
装丁から文字組まで、アートディレクションを担当させてもらった。
哲学者である野矢さんとは「
はじめて考えるときのように」(PHP)以来、
ひさしぶりにお仕事ご一緒させていただいた。
哲学の本に、絵をつけるというのは大変にむずかしい。
でも同時に、文芸とはまた違った雰囲気の本作りができるという面白さがある。
「はじめて考えるときのように」の時も、絵はお任せでという依頼だったので、
文章とイラストレーションは別々の川を流れ、最後に少し交差するという感じに
なればいいなと思って制作した。
野矢さんの文章を何回も何回も読んで、その気配を頭の中に置き、
あとは好きなように何枚も絵を描いていった。
そして今回の「ここにないもの」では、
文章で描かれている描写そのものを絵にするのではないけれど、
野矢さんが描いた世界を僕なりに具体化することで、奥行きのようなものが
生まれたらいいなと思って描いた。
絵以外の部分では、少しやわらかい雰囲気、気持ちよい余白を意識した。
ぜひ、手に取っていただければと思います。
ぐいぐいと引き込まれます。