2021年2月12日金曜日

新刊絵本『ひばりに』

 


『ひばりに』
内田麟太郎/詩
うえだまこと/絵
アリス館

デザイン/大島依提亜


内田麟太郎さんとの新刊絵本のおしらせ。
デザインは、大島依提亜さん(はっと目をひきつつも主張しすぎない絶妙なタイトル文字も大島さん)。そこに流れる空気を止めることなく、開いたものにしてくれました。

内田さんが震災を受けて書かれた詩『ひばりに』。
心がゆらぎ、不安な気持ちのとなりにいてくれる、あたたかな視点。まるで、地面から芽を出す小さな種子を助ける風や土や水のように、そっと寄り添うものを感じました。

詩の絵本というのは、「ことば」との距離感がとても繊細だと思う。そのバランスを探るため、スケッチ画を繰り返し描いていた時にふと女の子が縄跳びをする絵が浮かんだ。小学生の頃以来していなかった縄飛びを子供と一緒にしてみたら、「飛び、跳ねる」ということは、こんなにも心も体も軽やかになるのだなというのを感じた。
生きていると思いもよらぬ様々なことが立ちはだかる。我々は、それをなんとか乗り越えていかなければいけないけれど、そうそういつもうまく行くわけではない。それでも、(状況はさほど変わらなくても)ふっと軽やかに縄を跳ぶ感覚を一瞬でも持つことができたら、それだけでも十分なような気がします。

新型コロナウイルスCOVID-19が未だ終息できていない2021年。東日本大震災からは10年が経つ。ほんのすこしでも軽やかに「飛び、跳ねる」ことができれば、この状況下でも別の局面を見つけることができるかもしれないな、と思うのです。