装画のお仕事。
『川のほとりで羽化するぼくら』
彩瀬まる/著
KADOKAWA
装丁・大久保明子
私たちはきっと、どこへだって行ける
息苦しい今を軽やかに超えてゆく一歩を描いた、希望の物語 (帯より)
彩瀬まるさんの川を舞台にした四篇の小説集。
川というモチーフを扱いつつもそれぞれ異なる背景が、読み進めていくうちに重なっていき、和音(コード)の響きのように共鳴していく。それは、どこかで聞いたことのある音ではなく、まるで新しいコードを発見したときのような、とても新鮮な感覚でした。一編一編の関係性も本当に素晴らしく、物語をさらに深く大きくしているようで、そういう部分も印象的でした。描かれているテーマにも共感するものが多く、仕事ということを忘れて、読むことを楽しみました。さらに、この世界観に触れながら絵を描くことができ、とても贅沢な時間でした。
引き込まれて集中して読んだ後に、その勢いのままに絵を描くというのはとても気持ちがいい。イーゼルにキャンバスを立て、この本に流れている「川」を自分のなかに感じつつ、ライブペイントの感覚でぐいぐいと描きました。
美しく、雰囲気ある装丁は大久保明子さん。ひさしぶりにご一緒させていただき、とても嬉しかったです。